尺八教授本 師範への道のり

尺八を初めて1年くらいは、いわゆる尺八やお箏の曲に、あまり興味がありませんでした。

理由は、曲自体が退屈に思えたからです。現代曲に慣れきってしまった耳には眠くなるような旋律と、曖昧な拍子感、、、聴き慣れた曲と比較してしまうと、どうしても興味の対象にはなりませんでした。

ところが、習い始めてちょうど1年経ったあたりでしょうか。先生主宰の門下生による勉強会(演奏練習会)に参加した事がきっかけで、尺八の曲にも少しずつ興味が湧いてきました。

興味が湧いてきた理由は「意外と難しかった」からです。一見簡単そうな旋律でも、尺八だとなかなか綺麗に吹けません。これがリコーダーやピアノなら、1,2回練習すれば演奏できてしまうわけですが、尺八だとそうはいきません。

裏を返せば、尺八が無駄に難しいだけで、楽器として未完成なのでは?といった見方もできるかも知れません。しかし一概にそうとも言い切れず、演奏者に高い技術を要求する楽器であるがゆえ、技術を習得した際の表現力の高さは無限大、という素晴らしいポテンシャルを兼ね備えているとも言えます。

穴が5孔しかありませんが、メリ・カリ奏法や、穴を半分開けたり、指をかざしたりすることで、ドレミファソラシドも普通に吹けますし、それだけでなく半音と半音の間の音も自由に表現できます。強弱はもちろん、息の入れ方によっても、尺八らしい風切り音の混じった音から、サックスのようなビリビリとした音まで、色々音を変化させて吹くこともできます。

そんな無限の表現力に魅せられて(ある意味取り憑かれて)、昔から吹かれてきた尺八の曲を通じて、自分も自由な表現力を身に付けたいなと思うようになり、都山流の教授目録に取り込むことにしました。

いわゆる「○山」と名乗れる師範の免状取得には、准師範の取得から、3年の経過の上、師範試験に合格する必要があります。また、準師範の取得には、皆伝取得後に準師範試験に合格する必要があります。

(→都山流の資格 免状・免許状 について)

初伝 → 中伝 → 奥伝 → 皆伝、の順ですから、まぁかなり頑張って准師範取得まで2年として、計5か年計画、といったところでしょうか。。。結構な道のりです。

道のりは長いですが、始めてみれば楽しいものです。新しい曲に取り組むたびに、新たな奏法や課題が出てきて、毎日毎日練習することで、出来なかったことが少しずつ出来るようになっていきます。

私のレベルでは、まだ下手になるほど技術の蓄積もないので、やればやるだけプラスになってくれます。毎日吹いても飽きないどころか、何時間でも吹いていたいと思う今日この頃です。(仕事ハ大事ダヨ)

現在、取り組み始めてから約半年が経ちますが、中伝の主要な曲をある程度クリアし、奥伝の曲に取り組み始めているところです。

すっかり尺八の曲にも慣れ、その良さも少しずつ分かるようになって来ました。これからは、もともと吹きたかった現代曲に加えて、沢山の尺八の曲にも取り組み、表現力の幅を広げていきたいなと思っています。

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